1.留学生の就職状況
日本では、国籍に関係なく優秀な人材を確保したい、外国語や海外事情に精通した人材を求めたい、また多様性を重視して積極的に採用したいと考える企業が増えています。その結果、外国人留学生の採用も年々広がっています。
一方で、留学生にとって日本国内での就職は決して容易ではありません。
当法人では、就職活動の体験談や関連イベント情報を掲載しておりますので、ぜひ参考にしていただき、早めの準備を心がけてください。
留学生の就職先や在留資格の状況については、法務省の以下の情報をご覧ください。
留学生の日本企業等への就職状況について
https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/10_00013.html
※企業が留学生を採用する背景としては、以下のような理由が挙げられます。
・ 多言語対応や海外顧客対応が可能であるため
・ 国際的で多様性のある組織づくりにつながるため
・ 若手人口の減少により、採用ニーズが高まっているため
・ IT人材不足を背景に、外国人採用が積極的に進んでいる(活発化している)ため
2.就職活動
● 就職活動のスケジュール
日本では、就職活動は最終学年前の3月にスタートすることが一般的です。
(学部3年生、修士1年生、博士2年生の3月)
学部生の一般的な流れ:
時期:内容
3年生→ 夏〜秋:インターン参加、業界研究
4年生→ 春〜秋:書類選考、適性検査、面接
4年生→ 秋〜冬:内定
● 企業の採用基準
日本企業は以下のポイントを総合的に評価しており、
学力だけでなく、ポテンシャルも重視される傾向があります。
・ 学業成績
・ 専門性(専攻・研究内容)
・ 語学力(日本語力・英語力 等)
・ コミュニケーション能力
・ 協調性
・ チャレンジ精神(積極性)
● 雇用方式
日本の企業の多くは、メンバーシップ型雇用を採用しています。
入社後は OJT(On-the-Job Training) や社内研修を通じて、職務に必要な知識やスキルを習得します。
具体的な配属や業務内容は、入社後に決まるケースも多いです。
3.就職活動への準備
● 自己分析
日本の就活では、自己PR、ガクチカ(学生時代に力を入れたこと)が特に重視される文化がありますので、
自分の長所・短所、専門分野や能力、興味、将来の目標について、あらためて自分に問いかけ整理することが大切です。
自分に向いている仕事や、やりたい仕事を見つけるため、そしてエントリーシートや面接で自分を上手にアピールするための基礎になります。
● 日本語能力
求められる日本語レベルは職種によって異なります。
N2 以上:多くの企業での応募の目安
N1 必須:営業・接客など、対人コミュニケーションが中心の職種
N3/N4 でも可:ITエンジニア・技術職など、スキル重視の職種
● 業界・企業研究
自分が将来どうなりたいのかを考えながら、業界や企業との相性を確認することが重要です。
以下の目的で業界・企業研究を行うことをおすすめします:
・ 自分が希望する業界や企業を見つけるため
・ エントリーシートや面接で必要となる 志望動機を明確にするため
・ 自分の長期的なキャリアビジョンと、企業の方向性・働き方が合っているか確認するため
● OB/OG(大学の先輩)訪問
これは、希望企業で働く大学の先輩や知人を訪問し、リアルな情報を収集するための準備です。
留学生の場合、OB/OGがいないケースもありますが、見つけにくい場合には、キャリアセンター、SNS、先輩からの紹介、NPO支援団体など様々なネットワークを活用することをおすすめします。
OB/OG訪問で得られることは主に:
・ 会社説明会などの正式な場では聞きづらい質問ができる
・ 実際の働き方・雰囲気を知ることができる
・ 志望動機の質が向上し、面接対策にも役立つ
● 企業説明会・セミナーへの参加
多くの企業が参加する合同企業説明会や各企業が個別に開催する企業セミナーなどのイベントに積極的に参加することで、企業の雰囲気や仕事内容を直接知ることができます。
● 応募書類・面接対策
日本の就活では、以下の書類の質が非常に重視されます。
面接では、自己PRや志望動機、ガクチカなどを適切に説明する準備が必要です。
・ 履歴書
・ エントリーシート(ES)
※ よくある留学生の課題
課題1:日本語が足りない
→ 面接・ESでの表現力不足につながりやすい
課題2:自己PRが苦手
→ 自分の強みを言語化することが難しいケースが多い
4.採用試験
● 書類試験
書類試験は、選考の最初のステップであり、提出書類の一つであるエントリーシート(ES)の提出をもって、企業の採用試験への正式な応募となります。
企業は、ESの内容から「自社への理解度」「価値観の一致」「人柄」を読み取ろうとします。
エントリーシートでは以下のような内容が問われることが多いです:
・ 企業を志望する理由(志望動機)
・ 学生時代に力を入れたこと(ガクチカ)
・ 自分の強み・弱み(自己PR)
● 筆記試験
筆記試験は、応募者が一定レベルの知力・基礎学力を有しているかを確認するために行われます。
※一般的には、SPIなどの適性検査が利用されます。
主に以下の能力を評価します:
・ 思考力・判断力
・ 作業スピード
・ 情報処理能力
● 面接試験
面接は、1つの企業で3回以上行われることが一般的です。
複数回行う理由は、応募者の性格・考え方を多角的に確認し、企業に適した人物かどうか判断するためです。
種類は主に次の通りであり、企業は、面接を通じて、応募者のコミュニケーション力・価値観・考え方の柔軟性・職場への適応力などを判断します。
・ グループディスカッション(GD)
・ グループ面接
・ 個人面接(1対1または複数の面接官)
5.留学生が働きやすい職種・業界
日本では、専門性や語学力を活かせる職種や、外国籍人材を積極的に採用する企業が増えており、
特に以下の職種・業界は留学生が働きやすい傾向があります。
● ITエンジニア(SE・プログラマー)
・ 学部不問で採用されることが多い
・ スキル重視のため、日本語のハードルが比較的低い
● 技術職(機械・電気・化学など)
・ 理系分野の専門性を活かせる
・ 大手メーカーから中小企業まで幅広く採用あり
● 貿易・国際業務(海外顧客対応)
・ 海外企業とのやり取りが必須のため、外国語能力が強み
・ 国際物流、輸出入、海外営業など幅広い職種がある
多文化共生を進めるグローバル企業では、外国人向けの研修やサポートが充実しており、
キャリアアップしやすく定着率も高い傾向があります。
6.就職するための在留資格について
● 在留資格の変更
日本で就職するためには、在留資格を 「留学」から「就労系」 へ変更する必要があります。
代表的な就労系在留資格:技術・人文知識・国際業務(一般的な就職)
その他に、「教授」、「研究」、「高度専門職」など
在留期間:5年、3年、1年(※更新可能)
※在留資格変更のポイント
専攻分野と就職する職務内容に関連性が求められる
● 在留資格変更に必要な書類
i)本人が準備する書類
・ パスポート
・ 在留カード
・ 在留資格変更許可申請書
・ 履歴書
ii)就職先(企業)からいただく書類
・ 雇用契約書のコピー(内定通知書でも可)
・ 従事する職務内容・雇用期間・報酬額の記載された資料
・ 用企業の事業内容が載っているパンフレット等
iii)大学からもらう書類
・ 卒業証明書(または卒業見込証明書)
・ 成績証明書(原本)
在留資格変更に関する詳細情報につきましては、
法務省が公開している以下サイトの内容をご参照ください。
在留手続
https://www.moj.go.jp/isa/applications/index.html
7.就職情報
就職情報につきましては、併せて以下の情報もご活用ください。
JASSO →外国人留学生のための就活ガイド
https://www.jasso.go.jp/ryugaku/after_study_j/job/guide.html
外国人雇用サービスセンター
東京外国人雇用サービスセンター
https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-foreigner/
大阪外国人雇用サービスセンター
https://jsite.mhlw.go.jp/osaka-foreigner/
外国人労働者向け相談機関
https://www.check-roudou.mhlw.go.jp/soudan/foreigner.html